東京電力福島第一原発で、1号機だけでなく2,3号機にも、コア・メルトダウン、全炉心溶融が起きている可能性が公表されました。しかも、津波到来より早い段階、即ち地震による破壊で、鋼鉄製の圧力容器及びその格納容器の一部が壊れて水漏れが起き、核燃料が露出溶融した可能性があると言うのです。
「アメリカの原子力発電所でメルトダウンが起きたら、地球を突き抜けて中国まで溶け出す」と、映画の中で話されるジョーク「チャイナ・シンドローム(中国症候群)」を題名にした映画(アカデミー賞などにノミネートされた)の公開直後、スリーマイル島原発事故が起き、有名になった言葉が「メルトダウン」です。
原子炉圧力容器の中では、核燃料棒群に差し込まれた制御棒と、それらを浸している水とがあります。水は核分裂反応で発生した放射性物質及び核反応熱を吸収して水蒸気となります。この水蒸気が発電に使われると共に、100℃程度に圧力容器の温度を抑えています。もしも水が無くなり、燃料露出となれば、核反応熱で2800℃の高温になり、何でも溶かしてしまいます。いわゆるメルトダウンが起きるのです。その時、一気に大量の水蒸気を作り出し(水蒸気爆発のおそれあり)、また、高温状態で水素が発生し、空気と混合して水素爆鳴気爆発(水素爆弾ではない!)が起きます。そして、それらはすべて、放射性物質の大量飛散を招く危険があります。
このように核分裂を利用した発電は、水無しには安定的に操業できない。これが軽水炉型原発です。原子炉停止後も核反応は続き融解熱が出る。それを抑制するため浸した水に、放射性物質や熱を出し続けます。また「使用済み核燃料」も、水の無い状態、露出状態になれば、核反応高進、高温への温度上昇、水蒸気・水素爆発、放射性物質撒き散らしが同じように起きる危険があります。
メルトダウンして塊となった核燃料は、冷却効率が悪く、塊が大きいと内部で核反応が高進され、危険な状態(再臨界)が生まれる可能性があります。しかも放射性物質が大量に溶け込んだ水の漏出・流出も懸念されます。いずれにしても、原子力発電は、危険で扱いにくく、安全性が確立された技術になっていません。日本共産党は、「反科学」の立場ではなく、安全性未確立な原発推進に反対しているのです。
「チャイナ・シンドローム」は非現実ですが、「メルトダウン」は最悪の原子力事故であり、それに対して、専門家・技術者の総力の結集で一日も早い収束が急がれます。日本共産党は、原発事故の収束に向け、全力を尽くしています。
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