高橋裕著岩波新書『都市と水』に「新しい都市治水」と題し、三大都市圏での大規模工事が紹介されています。東京都の神田川流域で急激な宅地化とともに浸水被害が相次ぎ、道路の地下への分水路建設が進められました。名古屋、大阪では、街路地下に洪水調整用の地下池が造られ、いくつもの地下池をつなぎ海に至る地下の人口河川が構想されました。大阪市の寝屋川流域では、街路下トンネル型調整池(容量14万㎥)が造られ、豪雨時、下水道幹線から流入するよう設計され、水が退いたら寝屋川支流にポンプ排水。今後、学校・公園など公共施設に維持的保水・遊水機能を持たせる事業が計画されています。こうした流域治水・総合治水が、新型治水事業として国土交通省のメニューになってはいますが、全国的にはまだ取組が進んでいません。昨年・今年と西日本及び東日本の各地で起きた水害への対策で、流域治水・総合治水を本格的に推進する必要があると思います。
倉敷駅北の石見町・日吉町を中心に22.5haで行われている、倉敷駅周辺第2土地区画整理事業において、浸水対策が不十分だ、との意見を聞きました。2012年6月ゲリラ豪雨による浸水・冠水実態調査から、区域内5河川が1本の排水路に集積し区域外に排水されますが、その流量は7000㎥毎時を超えないことが判明。これに対して、区域内の農地等の貯水能力は20,000㎥と測定され、差し引き13,000㎥の水が区域内で内水氾濫する危険があります。実際、2018年7月西日本豪雨では、0.4mの道路冠水・床下浸水が起きた、と農業土木委員の証言があります。ところが浸水対策として土地区画整理事業に計画されているのは、容量1,000㎥の地下調整池だけ。浸水対策として「効果がほとんど無い」と指摘されています。
2018年西日本豪雨において、真備地区だけでなく、倉敷地区においても、道路等の浸水・冠水、家屋の床下浸水が広範に起きました。しかし、倉敷市はその全容を未だ調査していません。早急に、実態調査を行うよう倉敷市に求め、下水道課が進めている浸水対策を、市民の意見を基に、流域治水・総合治水など抜本対策へと進めるよう、運動を起こしましょう。
最近のコメント