ベクレルとは放射能量(放射性物質の量)を示す単位です。1kgあたり2千ベクレル未満なら食品の出荷・販売が出来る(暫定規制値)としていますが、茨城県日立市産ほうれん草で5万4千ベクレルの放射能量が検出され、3月20日出荷・販売中止しました。この放射能撒き散らしの源は、福島原発からの放出放射能であり、その量は原子力安全委推定で、63万テラ(1兆)ベクレル。放射性物質を広範囲に撒き散らし、放射能量測定を行えば、暫定規制値超えはゴロゴロ出てくるはずです。
これに対して、シーベルトは被爆線量を示すものです。人間が浴びても健康に影響が無いとする限度は年間1ミリシーベルト(1時間0.11マイクロシーベルト)以下。積算100ミリシーベルトで健康被害の報告は無いとして来ましたが、ここに来て政府は、年積算1~20ミリシーベルト以上を計画避難地域に指定しようとしています。
避難住民に対して「被爆線量検査」を行った自治体の首長が陳謝しましたーーーこのように書きましたが間違いがありました。行ったのは、付着放射能量検査(スクリーニング)でした。ほうれん草などの放射能量と人間の被爆量とを混同したのではないようです。しかし、被爆した人が他の人に放射線を出すのではないか、と言った誤解があるように思います。Ⅹ線撮影後の人に近づいて何の支障があるでしょうか。また、今回の汚染ほうれん草の近くにいるだけで有害量の被爆を受けるでしょうか。そんなことは無い、と言うことが科学的知見です。放射能の付着やそれを食べた人・動物の内部被爆、そして、食物連鎖による放射性物質の濃縮が大問題なのです。
外部に出ると深刻な災厄を引き起こす放射性物質。しかし、もし漏れた時、外部放出の時、その量を測定する計測システムはありません。放出放射能による被爆線量を測定し「人体に影響があるかどうか」を判断基準にした対応でしかありません。だから、放射能量と被爆量との混同が起こるのではないか、と思われてなりません。
放射性物質の放出・放置こそ大問題であり、それを阻止することなしに、被爆線量を低減する道はありません。被爆線量「シーベルト」だけでなく、放射能量「ベクレル」がもっと問題にされなければならないと思います。
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