原子力には、石油エネルギーなどと異なり、「平和利用」という言い方があります。「原子力の平和利用」には、核兵器=「戦争利用」に反対する意味が込められていました。しかし「平和利用」とされた原子力発電「原発」は、スリーマイル島、チェルノブイリ、フクシマなどの過酷事故を経て、日本でも虚構の「安全神話」と共に廃棄しなければならないことがハッキリして来ました。
そもそも原子力は、極微の世界の原子核の反応であり、E=MC2で表される物質のエネルギー転化が基本となるものです。一方、恒星の輝きは原子核反応によるもので、極大の宇宙では、原子核反応、放射線飛散が日常的に起きているのです。極微から極大まで、宇宙は原子力が元になっています。
地球の生命体・生態系の起源には深海底の地殻内部から吹き出る熱水が関わっていることが明らかになっています。放射性原子の崩壊熱を含む地球内部の熱エネルギーが生命誕生に関わり、生命体・生態系は太陽からの放射線を選択吸収して活動しています。
このように、宇宙も、地球・生命も、原子力とは切っても切れないものです。すでに「原子力の生命利用」は行われており、地殻・大気中の自然放射能は生命体・生態系が克服した証として存在していると言えます。「原子力の平和利用」の前に、「生命利用」の研究が先行すべきではないでしょうか。
現在の「平和利用・原発」は未完成の技術で、生命体・生態系へ危険はほとんど除去されていません。そもそも原発は「原爆からの転用」です。核反応を水など減速材で抑制し、徐々にエネルギーとして利用しようとするものですが、安全性、制御可能性が確立されたとは到底言えません。直接戦争には使わないだけなのに、「平和利用」と称して「原発事故の異質な危険」にフタをしているように思われてなりません。
「異質の危険」とは、1.放射性物質の放出を空間的に範囲を限定できない 2.時間的にも、何十年、何百年、何万年間危害が及び、それをどう防ぐのかか確定できない 3.社会的にも、人間と地域社会の存続を危うくする。このような「異質の危険」をもたらす現在の原発技術は許容できるかを問うべき。ーーー日本共産党の提言「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を」 より。
原発がつくり出した「死の灰」放射能被害から国土と人間、自然界と世界を守ることが緊急課題です。(日本全体の原発は、3分の1稼動でも、年々広島型原爆1.6万発分の「死の灰」をつくり出している!)また、原発の冷温停止及び放射性物質の安全管理を地震国日本で達成する努力も緊急課題です。
「原子力の平和利用」とは、原発を止めることを出発点とし、続いて、」原子力と生命・生態系との関係など基礎研究を大いに進めることではないでしょうか。
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