雑誌『経済』9月号特集「財界・大企業と内部留保」は時宜を得たものです。不況下でも、赤字企業でも、内部留保を積み増し、リーマンショックを乗り越えて金融収益を増大させている大企業・財界は、今や、従来の「内部留保」という資本蓄積方式に加え、グローバルな金融資本支配への仲間入り(アメリカの目下の協力者)を狙っていると喝破しています。こうした日本資本主義の特質を、国民生活窮乏との両極化とともにとらえ直し、「ルールある経済社会」への転換を説く意欲的な論稿となっています。
日経BP 8月24日付「非正規雇用社員の老後」では、元大蔵官僚の武田知弘氏が、全体の3分の1を占める非正規雇用の人たちの老後は生活保護にならざるを得ない、として、「税と社会保障をちょっといじくったぐらいで解決する問題ではありません。非正規雇用の人たちがちゃんと老後もやっていけるような雇用システム、経済システムにしていかなければ」「見直すべきは日本の経済システム」と言っています。
雑誌『経済』9月号の大木一訓論文『「内部留保」の膨張と21世紀日本資本主義』でも、元国税庁職員富岡幸雄著『税金を払っていない大企業リスト』(文芸春秋5月号)をとり上げ、「日本の企業は」「従業員への賃金は上げず、国にもあまり税金を払わず、ひたすら株主への配当と内部留保の増大に狂奔しているのではないか」との指摘を紹介しています。
こうした国民生活の疲弊と財界・大企業の強奪ぶりを批判・怨嗟する声は日増しに高まっています。財界・大企業主導の日本資本主義が暴走し、社会的な格差拡大などのゆがみが極端になり、社会的緊張が高まっています。この時代的特徴を、先の大木論文が鋭く指摘し、警告を発しています。
「情勢は民主的な方法で民衆を押さえつけることが難しくなり、支配層が暴力的に民衆を押さえつけるファシズムへの支援に走った1930年代の状況に類似してきている。『ハシズム』の登場はけっして特異なキャラクターの問題でも、地方的政治現象でもない」 「日本政治は戦後はじめて、右翼の代表に国会でのキャスティングボードを握る議席を与えるかどうかの岐路に立たされている」と警告しています。
財界大企業と国民の間の、政治的対決が迫ってきています。力が必要です。日本共産党が大きくなり、憲法を守り、平和と民主主義を守る戦線を広げないと、「独裁」を敢えて標榜し、憲法を無視し、靖国史観を教育に導入しかねない橋下維新の会に政治が牛耳られる危険性があります。
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