土地・家屋所有者には、固定資産税他及び相続税が課税されます。特に、農地への宅地並み課税により、資産価値及び土地課税が高く設定され、税金を払うために資産売却せざるを得ません。さらに現代では、自動車、株式及び銀行口座などの個人資産もあり、それぞれ課税対象になっています。
これは、国民個々が豊かになった、と手放しで喜んでいられる状況でしょうか。家や自動車の維持費が、税金や生活費を支出した後の賃金や年金で支払い可能でしょうか。持ち合わせの金融資産も増えるどころか、減る一方ではないでしょうか。「1億総活躍」どころか、「1億総苦難」社会へ進んでいるのではないでしょうか。
現代資本主義競争は、格差社会を生み出し、富の独占化を目指す動因(エンジン)を全開し、労働者の労働力価値の搾取に加え、労働者国民の土地、家屋など小さな個人資産まで、収奪を強めています。かつての資本主義社会では、さらなる利益を挙げるためであっても、企業は社会資本充実に力を入れたのに、です。
現代資本主義は、自動車をつくって売るだけで、その利用空間である、高速道路・トンネル建設費、大気汚染対策費などは、ガソリン税等で大部分を利用者負担にし、かつては資本家自らつくた公共交通(鉄道・バス路線)を阻害し廃棄させようとする有様です。
こうした現代資本主義の制御不能の一つが、内部留保の際限ない増大です。自民党政治の側でも、投資・配当や労働者賃金に回せ、と言わざるを得なくなっていますが、搾取で労働力を枯渇化させ、収奪で労働者国民の資産を急速に目減りさせ、搾取・収奪の限界まで強奪を進める現代資本主義の姿をそこに見る思いです。
土地及び漁場を唯一の生産手段にする農林漁業の発展で、安全な食料の確保・供給することが求められます。ところが、メジャーなど流通大資本が、農林漁業の生産にまで支配を及ぼし、TPPで世界支配を狙っており、資源の枯渇、食料危機を想起せざるを得ません。農地など生産手段の資本による占有に反対しなければなりません。
また、土地・家屋など生活手段は子育て・休息などで、労働力再生産に欠かせないものです。しかし、賃金・雇用が厳しくなり、年金が削られると、維持が難しくなり、資産を売り食いせざるを得ません。生活手段は、労働者国民にとって最後の、唯一の砦であり、それを無くすことは、徴税や社会保険料負担などへの不服申し立てを増大させ、社会のあり方への疑問、異議をも生み出します。
現代資本主義による強奪への弔鐘は、飽くなき収奪で生活手段まで失う苦難の中に、広く、鋭く、響き渡ることでしょう。
最近のコメント