10月16日、23日新潟と岡山の県知事選挙が行われました。新潟は野党共闘で安倍政権・自公勢力に勝利し、岡山は共産党対自公民進などオール与党で、「信任投票的」と評せられました。この2知事の政治姿勢の違いが際立っています。
岡山県知事になった伊原木隆太氏は元天満屋社長。企業経営者が常に口にする言葉「顧客重視」「コスト意識」を県政に持ち込んだと自負し、当選後記者会見でも、「県民は県庁の仕事に地域の未来を託していると感じた」と言い、「企業誘致や教育再生」を「県庁の仕事」「知事の仕事」として更に推進する、と言明しました。
知事や県庁職員が行うのは、県民が主人公の政治であり、知事は選挙で県民の信託を得、県民の要求をかなえるために、大きな権限が与えられています。この点で、米山隆一新潟県知事が「原発再稼動を止めて欲しい、と寄せられた県民の思いは本当に重い」「福島原発事故の検証、健康と生活への影響、非難計画の実効性の3つの究明なしに再稼動はあり得ない、のスタンスは変えない」と率直に語っています。伊原木隆太知事は、「県庁の仕事」と言う表現で、県民要求に対して知事の権限をどう使うのか、語っていません。
さらに米山知事は、野党共闘に触れて「違う思いを相互にリスペクト(尊敬)し合えば、『うちはいろんな思いを受け止めることが出来るんですよ』と思ってもらえ、市民も参加しやすくなるんですよ」と語っています。野党共闘の意義がこんなに分かりやすく、的確に表現されていることに感服しました。
さて、伊原木知事は、教育再生を熱く語りますが、語れば語るほど「それが知事の仕事?」と疑問が湧いてきます。曰く「家庭学習が出来ていない」「スマホの使用時間が守られていない」など、成果至上主義で子どもたちを追い立てる、最も教育的でないやり方を、教育委員会、学校、PTAを跳び越え、知事の権限で押し付ける危険な姿勢を感じるのは私だけでしょうか。
戦後の民主主義社会では、戦前の教育が厳しく反省され、憲法によって政治からの独立(中立性の確保)が保障され、教育行政の民主化(国政でなく地方自治の下での教育行政――公選制教育委員会など)が進められました。しかし、政府自民党は、教育への介入を強め、今や知事・市長が教育委員会を牛耳り、諮問機関化しようとしています。伊原木知事はそれに乗っかって発言しているのでしょうが、多くの県民は、それは知事の仕事ではない、と思っているのではないでしょうか。
これから伊原木知事のやることは、自分で考えたこと、決めたことだけをやるのでなく、県民の多様な声を聞いて県政を進めることを求めます。正規の教員を増やし行き届いた教育を、大企業優先、大型事業優先でなく、災害対策充実、中小企業・農林漁業振興を、などを訴えた植本候補が、選挙後、この政策に手応えを感じた、と語っていることを無視することのないよう、厳しく県政を監視していきましょう。、
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