憲法９条「壊憲」は国民無視、かつての覇権主義に逆走

　安倍改憲発言（遵守義務を負う首相の発言自体が憲法違反）は、９条１，２項をそのままに、３項新設で「自衛隊」を書き込もうとしています。自民党などは、９条は自衛権を否定していないとして、専守防衛は合憲としてきましたが、今度は、自衛隊そのものを合憲化することで、９条１，２項の「空文化」が狙われています。

　９条１項は「戦争違法化」原理をもとにした、国際連合の基本方針に沿ったものです。「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と明記されています。「抑止力」の名で、軍事力、特に核兵器保有すること、日米軍事同盟の「核の傘」を維持することは、９条１項違反ではないでしょうか。

　９条２項は「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」と、「戦争放棄」のため、戦力を持たない、交戦権も認めない、と厳しく戒めています。戦争違法化から進んで、戦力不保持という、人類の理想に進もうとしています。

　９条３項で、自衛隊の存在を書き加えたら、２項の「戦力不保持」が空文化することは明らかです。「戦争放棄」を実現する先進的条項、９条２項の「戦力不保持」は、日本の侵略戦争を反省し、２度と政府の行為によって戦争の惨禍を繰り返さない、との憲法制定時の国民的合意を後世の私たちに受け継いでほしい、と迫るものです。「９条を変えてはならない」は、すべての戦争犠牲者の願いです。安倍「壊憲」は、こうした国民の思い、願いを無視する点で、自民党の支持層をも分断して行くのではないでしょうか。

　アメリカのイラク、アフガン等での覇権主義、ロシアのウクライナ等への覇権主義、中国の南沙諸島等への覇権主義ーー多元的な覇権主義が、世界を覆い始めています。国連の核兵器禁止条約でも、日本政府が「唯一被爆国」の立場でなく、「日米同盟・核の傘」の立場で行動し、世界平和（核兵器禁止条約締結推進）に背を向けています。

　安倍政権は、北朝鮮問題でアメリカの軍事対応を否定できない。旧ソ連・スターリンの覇権主義で奪った千島列島の返還をロシアに主張できない。それは、日本の侵略戦争を「自存自衛」と美化し、かつて覇権主義国の仲間入りしていた日本にしようと、しているからではないでしょうか。

　安倍政権は、北朝鮮問題を含め、国際的な問題に、覇権主義的（日米同盟・核の傘）な立場で対応しようとしています。覇権主義を無くし、対等平等の民主的国際秩序、紛争を話合い解決する平和の国家関係を築くには、「武力による威嚇」を禁じ、「戦力の放棄」を迫る日本国憲法９条の方向しかありません。国民の願いを無視し、かつての覇権主義に逆走し、国際平和を壊す、安倍｛壊憲」をストップさせましょう。