農産物の生産・加工は、人々の食と健康、生活全体に大きくかかわります.人間(家畜も)の身体に必要なものを豊かな食生活の中で摂取すること、これは、健康で文化的な生活の保障の基礎となります。しかし、農業が、資本主義の利益第一主義の下で、大きく歪められています。1つは、大量生産・大量消費・大量廃棄での資源浪費・環境問題の惹起です。もう1つは、家族農業が衰退させられ、多国籍企業・大企業による、種子まで含めた農産物生産・加工の支配が進むことです。
農業社会であった時代には、農産物生産と加工、そして食と生活が切り離されないよう、集落の中で自給自足的に行われていました。味噌や醤油や酒を造るのは、集落の中の専門業者や家庭が担っていました。部落・町内に、豆腐屋、菜種の油絞り屋、醤油造り屋、酒造り屋などがあり、造られ方が良く知られたものが食卓に並べられ、安心の食卓でした。しかし、利潤第一主義の下で、部落・町内の零細業者は潰され、人々が知らないところで大量生産・加工及び大規模流通が行われ、人々の食卓に並ぶモノはカネで買ったものが置かれるようになっていきました。
農業への補助金行政が効果を上げにくいのは、農産物価格の保障だけでは、利潤第一主義の資本主義競争を抑えられないからです。かつて農業普及所・普及員制度が零細な自作農支援に力を発揮し、農業協同組合が、国民への食糧供給と農家の育成・支援を担いました。生産・加工、食生活などを総合的な農業問題と捉えた、利潤第一主義を克服する政策を打ち出すことが求められていると思います。
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