豪雨災害直後、調査委員会を立ち上げた国土交通省は、真備町水害を外水氾濫と捉え、高梁川から小田川へのバックウォーターを防ぐ対策を実施していれば防げた災害と言明しました。柳井原可動堰中止に追い込まれた国土交通省が狙っていたのが、柳井原貯水池の旧小田川河道復元・高梁川合流点付替え工事であり、このためのチャンス到来とばかりにマスコミに報道させました。しかし、堤防決壊で住宅地や田畑に流れ込んだ泥水が2日間から5日間も滞留し、7月8日矢形橋を通って避難した住民が目にしたのは、高梁川に水が流出した小田川にはジャングル雑木林で水が無く、堤防内の住宅地・田畑は泥水に浸かったまま、という異様な光景です。
これは、4m超の浸水でポンプ場が破壊され、排水不能に陥ったからです。「ストックウォーター」とも言える、排水不能の泥水の滞留が大きな被害を与えたのではないでしょうか。正に堤防決壊で内に入った水の「内水氾濫」だと思います。今回豪雨で、広く倉敷市全域に内水氾濫が起き、被害を出しています。しかし、倉敷市の調査は、真備町を含め未実施であり、対策もこれからではないでしょうか。真備町内を流れる3支川の堤防決壊は、高梁川・小田川の増水がバックウォーターとなって起こしたものですが、内水氾濫対策としてポンプ設置など全く視野にないように感じます。
そもそも真備町浸水面積1200haに4m超の泥水が滞留したのは、丘陵に囲まれた地形及び東への氾濫を防ぐ高梁川堤防による水位上昇にあります。さらに、高梁川の流れを阻害する地形として、酒津の対岸の八幡山がありますが、約100年経った高梁川大改修を基に、新幹線トンネル、山陽自動車道トンネルが敷かれ、今更丘陵を削るなどは考えられないのではないでしょうか。国土交通省の計画、柳井原貯水池約120haへの河道延長で、今回真備町を覆った4m超の浸水水位を、いくら引き下げることができるのか、新合流点でも当然バックウォーターが予想されることを踏まえたシミュレーションが出来ているのでしょうか。
なお、上流からの堆積物、雑木林での河道上昇に対して、高梁川の河道浚渫はどのようにするのか、市民に周知されていません。高梁川の堤防決壊で起きる4m超浸水は、倉敷地区、船穂地区、玉島地区のハザードマップとなって市民に配布されていますが、堤防は大丈夫なのか、内水氾濫にどう対応するのか、など市民の心配は尽きません。これに対して、市政、県政、国政はどうしようとしているのか、真備町の深刻な現実を踏まえた、災害の正しい検証を求めて行きましょう。
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