水田は稲作のためだけでなく、野菜など作物の連作障害を防止する効果があります。水路及び樋門を使って農地に水を入れるため、揚水ポンプを設置・作動します。また、湿田を乾田化するため水路・溜池に向けポンプ排水することがあります。そもそも河川が天井川化し堤防外の農地が低位置にあれば、自然排水不能で湛水防除ポンプによる河川への排水が欠かせません。大雨で農地が冠水し、河川への排水が進まない時、湛水防除ポンプが活躍しますが、天井川では、その水位が高く、ポンプに圧力をかけ河川に強制排水しなければなりません。しかしその時、河川から支川口を経て逆流が起き、比較的脆弱な支川堤防での越流・破壊が引き起こされます。従って河川水位を高めるときには、支川口に樋門を設置しておいて、それを閉じなければならない。しかし、支川の水量が多い時は、樋門が流れを阻止して水位を上昇させ支川堤防を脅かすので、支川口に樋門設置せず、支川堤防強化しかない、となります。結局、支川に至るまで高堤防網を必至とするもので、治水を連続高堤防捷水路方式で行うことの矛盾です。
「河川内に閉じ込める」治水方式は、水との共生に反するやり方であり、水の勢いをかわし、分散させる「伝統的治水」こそが自然との共生に合致します。河川が生んだ「沖積平野」を人間が利用するとき、水流をコントロールするための水路・樋門及びポンプ(揚水、排水)は欠かせません。但し、水流の最終地である海への排水は、潮の干満による潮流の侵入を阻止するため締切堤防・水門が設置され、干潮時排水以外には閉じられ、大雨による河川の増水水流を最終拡散する事が出来ません。満潮時でも海に排水できるポンプ設置は必置ではないでしょうか。但し、出口の海に堆積する泥などの浚渫が必要であり、海底地形の調査と改変が検討されなければなりません。
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