真備水害訴訟の第3回口頭弁論で、元国土交通省職員中村文彦氏の「真備水害における河川管理者の責任について」と題した意見書が提出されました。意見書では、「真備水害は想定外の大洪水ではなく、事前に予期できたものであり、適切な河川改修が実施されていれば未然に防ぐ事ができた。また、住民から要望のあった樹木伐採を適正に行っていれば、大きく被害軽減が可能であった」として詳細な論証を行っています。
高梁川・小田川合流点から小田川上流への背水影響について、河川管理施設等構造令29条により、小田川上流の堤防が高梁川堤防より下回らないものとする、とされており、小田川はほとんどで堤防高が不足する上、支川(末政川等)堤防高不足はさらに大きく、高水流量で越流・破堤が起きるのが当然と断じています。「この洪水で小田川の堤防が越流し、破堤する。その場所も想定できる。これを回避するため、国土交通省は河川改修する能力があり、かつ、この危険を水防団に知らせる事が出来る唯一の組織である」と中村氏は厳しく指摘しています。
合流点における背割堤・石積導流堤・水制が、昭和47(1972)年までは適正に管理され、1975年航空写真では河道樹林帯は映っていないのに、2018年7月豪雨前のグーグル写真には200~250mの川幅が110mに狭められ、死水域の壁がつくられ、樹木繁茂で川幅は50mまで狭めらた風景が映っていたとして、中村氏は「昭和47年当時の樹木管理が出来ていれば破堤を回避できた可能性は高く、樹木管理が被害を大きくした事実は明らかである」と結んでいます。
中村氏意見書に一つだけ付け加えさせてもらえば、昭和42(1967⁾年小田川の真備町分だけ一級河川に昇格させ、合わせて真備町で活動していた「水防組合」も解散させられました。
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