11月3日しんぶん赤旗が報じたILO報告は注目に値します。2011,2012年の2年間で8千万人の新たな雇用創出が必要なのに、4千万人程度しか予測されていない。また、118ヵ国中69ヵ国で「リーマンショック前の2006年より2010年の生活水準が悪化」と答える人の比率が増大。先進国の国民の過半数が「働き甲斐のある人間らしい仕事(ディーセントワーク)が無い」と不満を訴え、ギリシャ、イタリアなどでは70%を超える国民が不満を表明。発展途上国では食料価格が2倍に高騰し、「働き甲斐のある人間らしい仕事」に多大な影響を与えている。
ILO報告は、雇用拡大計画の維持、強化を訴え、公的債務や財政赤字削減で、労働市場や社会政策に過大な影響を与えないよう警告。119ヵ国中45ヵ国以上で、社会不安の危険が増大していると指摘しています。
11月6日日経「けいざい解読」は、スタンダード&ブアーズによる、IBM、アップル、マクドナルド、スターバックス、GEなど米企業主要500社の2011年1株利益は過去最高を更新しようとしている。しかし、「雇用なき景気回復」と言われた1990年代初頭でも62~64%を維持していた労働分配率が5ポイント下がり戦後最低になる、と述べています。
米資産運用大手ピコムのビル・グロス氏の「米企業の高収益は続くのか」との危惧ーー実質賃金が下がり住宅価格も下落。アメリカンドリームが揺らぎ、個人消費が冷え込むワナに気づくとき。最終的には労働力と資本の両方が打撃を受けるーーを伝えています。最後に、ウオール街で広がった反格差デモは、今の状況が分水嶺に差し掛かっていることを示唆している、としています。
ドイツの資産家50人グループ、化粧品大手ロレアル、石油大手トタル、航空大手エールフランスなどの16人の富豪、イタリアの高級スポーツカーフェラーリの社長、世界最大の投資持ち株会社「パークシャー・ハサウェイ」会長ら世界の大資産家が「増税なら、われわれに」と主張しました(10月1日付しんぶん赤旗報道)。これは、ビル・グロス氏の危惧と同じような理由です。
富を生み出す労働力は、購買者でもある働く民衆が持ち、富(資本)にはその力は無い、と言う資本主義の基本的矛盾を、資産家自身が認めたことを示しているのではないでしょうか。
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