倉敷市の28年度当初予算案が議会に提出されました。企画財政部財政課作成の「ダイジェスト版」では、「高梁川流域成長戦略ビジョン」と名付けられた予算が、24項目、総額2億9千4百万余円、それに加えて、高梁川流域連携中枢都市圏構想の推進予算が1億3千9百万余円加えられています。合わせて4億3千4百万余円が「連携中枢都市圏」関連予算です。
伊東市長は、倉敷市の予算案として、「連携中枢都市圏」を含む予算案を倉敷市議会に提出しました。これは住民自治・地方自治を踏み躙るものではないでしょうか。例えば、「ひとを惹きつけるまち倉敷」の項「ア」「倉敷への移住定住促進」として「県外から高梁川流域圏域への移住支援事業」「高梁川流域の町家・古民家の保存・再生・活用」などが掲げられています。これら事業は圏域内市町村と事前に予算調整したものではなく、倉敷市が一方的に予算化したものです。その原資は国の地方創生交付金です。本来地方財源であるべき交付金制度を悪用した、地方創生交付金は、地方自治を踏み躙り、しかもその役割を中枢都市倉敷市に押し付けようとするものです。
しかも「マイナス事業効果がはっきりした」倉敷駅付近立体交差事業、「立地適正化計画(公共施設の集約化?)」の名によるまちづくりマスタープラン策定、都市計画道路等見直しなど、流域各市町村とは関連のない事業まで「高梁川流域成長戦略ビジョン」として予算に計上しています。安倍政権の地方創生有識者会議メンバーの一人である、伊東市長が前のめりでつくった予算案と思います。
伊東市長は、安倍政権の優等生となろうとしていることと共に、JFE大企業の利益優先もまた、大きな特徴です。4箇所の学校給食調理場を、JFE社宅跡地に集約して1万2千食巨大学校給食工場建設を急いでいます。倉敷市の21世紀学校給食検討委答申「玉島3小学校の自校調理場方式」実現が否定され、船穂小中・柳井原小の親子調理場方式が壊され、すべて巨大調理場に統合されます。伊東市長の「子育てするなら倉敷で」のスローガンが泣くのではないでしょうか。かつて「良い子いっぱいの倉敷」をスローガンに、教育は教育長に任せ、教育予算を最優先した県議出身の元倉敷市長に比べ、むなしさを感じるのは私一人だけでしょうか。
さらに、JFEエンジニアリングがPFI事業でつくった、水島エコワークスのガス化熔融炉(産業廃棄物・一般廃棄物混合高温処理)が不具合続きで、20年間の契約終了による撤退を通告してきました。それを受けて倉敷市は、玉島地区に新ごみ処理施設建設を発表しました。日本共産党は、ガス化熔融炉は未確立技術である上、「何でも燃やし、残渣リサイクルで、夢の処理施設」との宣伝は、ごみ減量化に逆行するもの、と指摘し、本来ゴミ処理は地方自治体固有の事業であり、PFI(民間資本優先)で、産業廃棄物と混焼し、民間の儲けに委ねることになる、と反対しました。
これらは1999年に、産業廃棄物処理行政を司る岡山県、川鉄サームセレクト方式のガス化熔融炉売出しを図るJFEなどが「チャレンジ県政政策研究会」をつくり、市からも職員が派遣されて準備されたものです。当時、市民環境委員会に共産党市議団の委員が居なくて、委員会視察・審査が千葉川鉄工場の会議室で行われるなど、環境行政の歪みを許したことは痛恨の極みです。
ガス化熔融炉への移行は、市役所東の白楽町ごみ焼却処理施設(2016年度当初予算で解体費22億余円の債務負担行為)の更新を急遽中止させ、新児島ごみ処理施設計画を実施直前で中止させて行われたものです。今回、JFEエンジニアリング撤退を受け、玉島地区には、浅口市金光町と運営している共同処理場を廃止し、倉敷地区、児島地区、玉島地区全部の家庭ごみ処理の巨大工場が押し付けられようとしています。
そもそもゴミ処理は、減量・資源化の取組を重視し、発生源対策を強化しつつ、処理施設を住民合意で設置・運営する、住民自治に立脚したものであり、広域化することは、問題解決につながりません。大企業JFEの利益優先に倉敷市の環境行政を歪めたことへの総括無しに、玉島地区への巨大ゴミ処理施設押付けは住民自治に反するのではないでしょうか。
最近のコメント