(株)クラボウは、万寿工場跡地を、岡山県知事・倉敷市長から要請されてチボリに貸しましたが、10年間も経たずに経営破たんし、その跡を、イトーヨーカ堂・三井アウトレットの大型店に貸しました。倉敷市長は、商店街の中にあった天満屋の要望を受入れ、東ビル全館を格安で賃貸しました。その結果、商店街を空洞化させ、日曜・休日の買い物客は大幅減となりました。
商店街は、美観地区への観光客、倉敷中央病院への通院・見舞いの人が通るだけ。1955年頃、水島コンビナートや高度成長以前、水田二毛作のイグサ栽培で近郊農村が活況を呈したときが、倉敷駅前商店街の最盛期だった、と言う人が居ます。そして、水島コンビナート建設も、水島商店街に好景気をもたらしましたが、倉敷駅前商店街には、それほどの経済効果を及ぼしませんでした。
倉敷市が進める倉敷駅周辺開発は、鉄道高架事業と土地区画整理事業ですが、どちらも行き詰っています。鉄道高架は投資効果乏しい、との岡山県自身のデータ発表が行われ、土地区画整理事業は、住民合意が得られないまま、土地買収(90億円程度借金して倉敷市土地開発公社が買った?)だけが進められている、という状況が続いています。
岡山駅は「サンステ」やイオン等へ、あちこちから客が集まり、倉敷駅は通勤通学を除けば、岡山等に行く人が乗る駅であり、観光客が乗降する駅です。岡山、倉敷は、県内複眼の都市と言われながら、岡山駅は集まるところ、倉敷駅は出るところ、と違っています。チボリや大型店で集客しようとしても岡山にはかないません。
では倉敷駅周辺開発とはうしたらよいか。倉敷駅周辺は、美観地区と大原遺産の観光の玄関口としての整備でよいのではないでしょうか。江戸末期・明治・大正の建造物群の町並みを整備・拡大し、景観条例に反する高層ビル群に規制を掛けることが必要です。
駅舎ビルが壊され、東西ビルが聳え立つ風景は倉敷らしさがありません。チボリが押し付けられる前は、クラボウ跡地に「大正村」構想がありました。そこを流れる「倉敷用水」の源「酒津の水門」が1500mの近くにあり、産業(農業)遺跡として国の重要文化財に指定されます。また、かつて倉敷市職員有志による「北都プラン」では、倉敷用水辺りの整備が計画されていました。
三井アウトレット、イトーヨーカ堂の間に11億円掛けて造られた「倉敷未来公園」は、酒津水門・倉敷用水といった農業遺産に繋がるものです。農業遺産を整備・拡大し、「農のあるまちづくり」という新たな都市像へと前進することが、倉敷駅周辺開発の未来であれば良いのにと思っています。
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