選挙が終わるとキナ臭い話を持ち出すアベ政治。安倍首相は、『自民党改憲草案』をベースに憲法審査会を動かし、改憲へ政治テクニックを駆使しようとしています。これとどう闘うか。日本共産党綱領は、12章「民主的改革の主要な内容」として「現行憲法の前文を含む全条項をまもり、とくに平和的・民主的諸条項の完全実施をめざす」と述べています。
憲法はその前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と述べ、政府による戦争を断罪し、平和を実現するため、国民主権の憲法確定を高らかにうたっています。
『改憲草案』は、九条2項「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」を削除し、国防軍を規定します。自衛隊は、自衛(専守防衛)以外の戦闘行動はとれない、と云うのが、歴代自民党政権の憲法解釈でした。しかしアベ政治は、閣議決定及び安保法制(戦争法)により、海外派兵や集団的自衛権行使を可能とし、憲法を踏み躙っています。
国防軍規定は、自衛の枠を取り外し、自衛隊を国防軍へと替えるものです。憲法前文が警告した、政府による戦争を、再び起こす企みではないでしょうか。
『改憲草案』は、憲法13条「すべての国民は、個人として尊重される」の、「個人」を「人」に替えます。「個人」は封建時代の身分制に対する「近代個人主義」を示しています。戦前の大日本帝国憲法が、国あっての国民と、近代個人主義を否定していたことを連想させます。
憲法13条は、続けて「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」としています。これに対して、『改憲草案』は、「公共の福祉」を替えて「公益」「公の秩序」の言葉を用います。
憲法11条は「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」とうたっています。11条13条を合わせると、国民同士の権利の衝突、と云う事実によって権利が制約されることを「公共の福祉に反しない限り」と表現しているのであって、国のために個人の権利が制限された戦前の憲法とは全く違っています。
こうした「個人の尊厳」を大前提にした「法による支配」が行われ、「人による支配」が廃絶されれば、「立憲主義」が確立されます。アベ政治は、選挙では、改憲等何も語らず、選挙で多数を取ると、人の支配を強める政治のテクニックを駆使して暴走する、「立憲主義」破壊政治です。
安倍首相が、「総活躍」「女性活躍」など、耳障りの良いことを並べても、それが「騙しの言葉」と国民に受け取られるのは、そもそも立憲主義に立っていないからではないでしょうか。、
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