今年が明治維新150年として、顕彰する政府行事が行われています。江戸幕府の封建政治を武力で倒した天皇制政府が掲げた政治スローガンは、「広く会議を興し,万機公論に決すべし」(五箇条の御誓文)という民主主義を謳ったものでした。しかし、文明開化・資本主義化を急ぎ「殖産興業・富国強兵」を掲げ、軍事力を増強し、アジアへの侵略戦争を推進する軍国主義国家へと変貌していきました。ドイツ・イタリア・日本のファシズム三国同盟が敗北したとき、明治維新から77年が経っていました。
民主主義を求める自由民権運動が起こり、普通選挙が実施されましたが、女性を除く成年男子のみの選挙権であり、完全な普通選挙は戦後の日本国憲法を待たねばなりませんでした。しかも天皇制政府は、普通選挙権実施と同時に治安維持法を強行しました。社会主義・共産主義思想を敵視し、特高警察・裁判所ぐるみの人権抑圧・弾圧体制を敷き、民主主義の芽を完全に摘み取ろうとしました。
日本共産党は、自由民権運動を引継ぎ、1922年7月15日非合法下で結成され、天皇専制に反対し国民主権を唱え、侵略戦争反対を掲げました。平和主義・基本的人権擁護と云う、戦後の日本国憲法の先駆けとなる政治スローガンを掲げたのが日本共産党であり、他の政党が解党して、天皇制政府の体制翼賛会に合流したため、政党名を変えなければ戦後政治に参画できなかったのと対照的です。
戦後政治は、日本国憲法の下、平和と民主主義が花咲くものと国民は期待しましたが、アメリカ主導の連合国占領政策が、米ソ対立の冷戦型へと変貌して行きました。中国で社会主義を標榜する革命が起こり、ソ連スターリン独裁政権の援助で生まれた、38度線北の北朝鮮・金日成独裁政権が朝鮮戦争を引き起こし、対抗した米軍・国連軍と中国義勇軍との衝突まで起き、休戦協定で38度線が定められました。朝鮮戦争では、日本の沖縄など米軍基地から戦闘機・空母が発進しましたが、日本は憲法9条によって朝鮮戦争には巻き込まれませんでした。その後アメリカのベトナム戦争にも自衛隊は海外派兵せず、その後も、歴代自民党政権によって自衛隊の海外派兵・集団的自衛権(日米同盟)行使が企まれる度に、憲法9条を守れの運動が起き、それを阻止しています。
憲法9条をもつ日本は、北東アジアの平和と安定に貢献することが期待されています。しかし、サンフランシスコ平和条約と同時に結んだMSA協定をもとに日米安保条約改定を行い(安倍首相が尊敬する祖父ー岸信介内閣ー国民の大反対運動で退陣)対等な軍事同盟となり、抑止力と云いながら他国に脅威を与え、戦争の火種となる可能性があります。
日本共産党は、結党以来、侵略戦争反対、国民主権など基本的人権擁護(憲法は個人の尊厳を守るよう権力を縛るもの―立憲主義)を掲げ、弾圧にも屈せず、その実現目指して、言論を以て闘い、ソ連・中国が干渉し押し付けようとした、暴力革命論や極左冒険主義に反対してきました。人類社会は、資本主義で終わりでなく、それを止揚した社会主義・共産主義の社会に発展する、との理論的展望をもっています。その道筋も、共産党単独でなく野党共闘が、議会で多数議席を得て野党連合政権をつくり、また、経済民主主義で独立・民主の日本を目指す民主連合政府へと、選挙による審判を仰ぎつつ段階的に進む展望をもっています。
民主連合政府は、民族民主統一戦線政府とも呼びます。国民要求を広く結集した統一戦線が結成され、それぞれの要求を基に諸政党が活動し、統一戦線政府は、憲法を守って行政を行い、当然、選挙で敗れれば政権交代し、野党となって活動し、また国民の審判を受ける。また、三権分立、国民主権に基づく選挙・国会運営、憲法遵守の行政が実現されなくてはなりません。
憲法制定から73年間の日本政治は今、安倍首相による改憲・戦争する国づくり、また、大企業・大資産家優遇で国民生活を破綻の淵まで追いやる消費税増税など、来年7月参院選が大きな曲がり角となることは明らかです。野党共闘勝利、さらに解散総選挙で野党連合政権へと、一気に大きな流れが出来るかもしれません。創立96年の日本共産党の出番の年となるよう、頑張りましょう。
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