ダムは「利水」「治水」両方の機能をもつ、と云われます。ダムは、深い谷川の岩盤にコンクリートと鉄板で高い擁壁を築き、流域の降雨・滲出水を貯めて下流の農業用水、都市用水に誘導します。これがダムの利水です。一方、ダムの貯水容量に空きをつくって、流域の降雨・滲出水を一時貯留し、大量の水が一気に流下するのを防ぐ、これが治水です。
しかし、気象変化が激しく、多雨の日本では、河川水量が激しく増減し、また、地殻変動により浸食谷川が出来、急流をつくっています。このような、気象・地形の日本で、大ダム方式による「利水」「治水」は成功するのか、が問われているのではないでしょうか。
長雨時には「事前放流」して治水のための「空き」をつくる必要がありますが、「事前放流」に失敗すると「ダム放流洪水」の危険を招きます。また、渇水時には、水利権を制限・調整して、ダムに水を溜めなければなりません。長雨・豪雨、渇水と云った、気象変化に対して、ダムのゲート操作が的確に行えるのか、が常に問われています。「ダム運用指針」による「流入量と同じ量を下流へ放流」では、治水機能はゼロ。放流量の増大は、ダムを守るため下流に洪水を起こす犯罪行為と云われても仕方ありません。
同時に、渇水時にダムを事前放流して河川水を枯渇させれば、管理責任が問われます。25年前の平成6年渇水では、ダムの「デッドウオーター(底水)写真」が報道され、ダム管理が大きく問われました。渇水が懸念されながら「水利権」放流規制が遅れ、水道断水の被害が発生しました。こうした経験から、福岡市でつくった、水利権の付かないダムを検討すべきだ、と提案したのが、日本共産党倉敷市議団でした。
ちょうどその頃、柳井原ダム問題が議会で論議されていました。これは典型的な「下流ダム」で、大正年間の高梁川大改修で貯水池化した、旧小田川河道と高梁川との合流点に可動堰を構築して、利水・治水を行うとする計画でした。しかし、2002年(平成14年)それまで反対していた船穂町が賛成に態度変更したにも拘わらず、岡山県知事が突然中止を発表しました。節水型生産設備更新で水需要が減少し、ダム中止世論の拡がりがあったからではないでしょうか。
今回、真備町の大水害対策で、柳井原の小田川旧河道を経て高梁川合流点への付替え工事が急ピッチで行われていますが、これを「柳井原ダム計画」と同一視して、船穂町が反対した、共産党が反対した、などど言っているようですが、水利権付ダム方式で、水需要が無いダムに反対したのは当然で、知事の中止発表は歓迎しました。なお、日本共産党真備町議の故池田稔氏は、ダム方式でなく、現在進行中の合流点付替えを提案していました。
私(小山)は、合流点付替えだけでは根本解決しない、首都圏で国土交通省が取り組んでいる「総合治水」を参考に、小田川治水を関係自治体で協議会をつくって取り組むことを提案しようとしています。
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