8月15日終戦記念日、台風10号の襲来に西日本が緊張しています。1年前の西日本豪雨災害を思い出すからです。梅雨の長雨はあったけど、あのような深刻な水害は想像できなかった、今回は、早めの避難を、と行政が強調しています。しかし、どのように避難行動をとればよいのか、避難経路、移動手段を含め、避難場所が一人ひとりに明示されてはいません。危険から自らの命を守ることだけが強調されると、「避難しない者が悪い」と自己責任にされ、住民の安心・安全を保障すべき行政の責任が放棄される惧れがあります。まず、消防・水防組織の増員・能力強化など行政の総力を挙げた取組を先行させた上で、住民への協力呼びかけが行われるべきです。
そもそも人類が水利用・河川利用で文明を発達させる中で、水害防止の技術や組織、住民動員・避難訓練に習熟して来たのではないでしょうか。また、安心住居・安全地帯を求めて、住宅建築、住宅地・都市づくりを進めてきたのではないでしょうか。農業社会が利水と治水という相矛盾する取組を一体的に進めてきたのに対して、農業破壊で構築した多国籍企業支配の工業・商業社会は、頻発し年々酷くなる水害に対して、有効な防止策が採れないーー雨水を集約する河川流域ごとに、流量測定・予測及び水の過不足調整のための土木事業(単なる調整池、河川ダム増設でなく、遊水空間づくり、流域全体の保水能力アップと云う「総合治水」が求められているにもかかわらず、本気の取り組みにはなっていません。
工業化社会をコントロールして安心・安全な地域社会づくりを進め、自然と共存する文明を目指し農業社会の復活・再生に向けた取組、ここに水害防止の本道があり、水利用文明の究極目標ーー人間労働の高度化達成ーーへの大道があるのではないでしょうか。
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