2020年4月市議補選では、2018年真備町等水害の、災害要因と被害状況、国県市の責任と防災対策そして、生活再建・復興支援について、市民要求を基にした政策論争が必要です。
災害要因と被害状況について、倉敷市対応の検証及び原因究明について質した、真備町在住市議の質問に対して、市長は「やらない」のゼロ回答でした。そして倉敷市は、被害状況調査を行わないまま、浸水対策として「倉敷市雨水管理総合計画(案)」を発表しました。そのP45で「外水起因による浸水」を当面対策の対象外にする、として、真備町等水害が無視されています。災害状況調査と原因究明、行政対応検証を「やらない」で出そうとする「対策」は、誰のための対策か、被害住民の立場、市民の立場に立ったものではありません。
まず、倉敷市に被害状況の総合調査を求めましょう。倉敷市の対応が遅れ、ほとんど有効でなかったのは何故か、検証を求めましょう。真備町等水害の歴史を明らかにし、そこから教訓を学ぶ必要があります。
農業と水防を考える会が結成され、小田川調査が行われ、真備町で8ヵ所の堤防越流・決壊が起き、矢掛町でも3ヵ所堤防決壊、井原市で堤防道路の路肩崩落、上流の広島県で道路肩崩壊2カ所など、小田川の大量流水が、同時多発的に各所に被害を起こしたことがわかりました。その原因が、岡山県西部・広島県東部に亘る吉備高原で4日間に500ミリもの豪雨災害にあったのです。井原市、笠岡市、矢掛町、倉敷市真備町に至る小田川は、勾配が緩やかなため、河床は草木・樹林化し易く、増水時だけ堤防で囲まれた河床を濁流が埋め、勢いよく流れます。小田川への支川流入口は、増水時逆流口となって、浸水被害を起こすため、樋門と内水排除ポンプとが欠かせないのです。小田川沿線には、この樋門・ポンプが無数に設置されています。
今回真備町で起きた8ヵ所もの堤防越流・決壊は、増水した小田川が、高梁川からの強い背水影響で、排水不能・著しい水位上昇を起こし、本川堤防を圧迫し、また、支川を逆流して弱い堤防を崩壊させた、こうした洪水図が描けるのではないでしょうか。水源が貧弱で勾配の小さい河川が大量増水すると、排水不良による堤防越水・決壊が起き易い。ダムがある河川は、豪雨等で増水するとき、放流量を増大させるので、本川堤防を圧迫すると共に、支川逆流・排水不良による「内水氾濫的」現象が拡がって行きます。今や「支川を合わせて滔々と流れる河川」は無くなっている、と言えるのではないでしょうか。
水源が貧弱で勾配が小さい河川、ダムを持つ河川、そして、最下流の海水締切堤防で閉め切られる干拓地の用排水路・池の湛水、道路・住宅地・工場等の浸水被害など、すべて内水氾濫です。今や、広範で抜本的な内水氾濫対策が必要ではないでしょうか。
高梁川は歴史的に、総社市湛井堰での東流阻止、倉敷市酒津での東高梁川廃川地化で、放水路、排水路が必要なのにもかかわらず、それを無くす逆行をしてきました。国土交通省でも「総合治水」「流域治水」として、埼玉県春日井市の巨大地下排水路「地下神殿」、高床式横浜スタジアムが立地する巨大遊水地公園など、3大都市圏を中心に取り組みが始められ、2019年台風等水害で「街を救った」とマスコミが評価しましたが、それらは、地方にまだ届いていません。排水不良、内水氾濫防止の抜本的対策こそ、いま緊急に求められているのではないでしょうか。
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