新型コロナウイルスによる被害拡大が第4波を迎えています。この感染症拡大は時間経過で収まるものではないことがハッキリして来ました。人間を介して感染拡大するので、人間の社会活動が感染を媒介し、変異株を生み、感染拡大の波がいくつも起きるようです。
一方で、ウイルスそのものは絶滅せず、中には、宿主の遺伝子にまで入り込んで、生物進化の一翼を担う、と言われます。結局、ウイルスとの共存、ウイルスと人間社会とのより良い共生が求められるのです。これは、水と人間社会との関係と似ています。
労働によって動物界から離脱し、人間社会を拡大してきた、農業をはじめとする産業と生活も、水なしには持続できません。水利用を最大化するため、連続高堤防の河川と高いコンクリート擁壁でダム湖をつくりましたが、逆に、集中豪雨による大量の水が河川に集中、ダムや堤防を乗越え、破壊し、制御不能に陥ります。洪水・氾濫への膨大な水防対策――終わり無き治水対策が避けられません。
大気中と地表・海洋を大循環する「水圏運動」において、集中から分散への、水の挙動を誘導するしかありません。この点では、明治29年河川法制定までの伝統的治水対策は、霞堤や乗越堤、遊水池などにより洪水を分散・沈静化させました。今や、ドナウ氾濫原公園のような治水対策がEU欧州連合で取り組まれる時代となっています。
ウイルス問題も水問題も、自然との共生が迫られているのは人間社会の方です。感染症対策、水防対策とは自然との共生に本気で取り組むかどうか、の1点に係っているのではないでしょうか。
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