コロナ感染防止では「人流」を減少させることが求められます。「不要不急外出の制限」「ステイホーム」「オンライン」等、「巣ごもり」で「人流」を減らせ、と言っています。
水害防止でも、特に豪雨時「水流」を減少させることが求められます。高堤防で水流を河川内に閉じ込め、その途中に高いコンクリート擁壁でダム湖を造り、下流の「水流」を減少させる、としています。しかし、この「高堤防・ダム」方式は「水流」減少・治水に成功しているでしょうか。
この答えは「否」です。何故なら、封じ込めに成功したと思った途端、何百年に一度と云う、巨大な集中豪雨が堤防内容量、ダム容量を超えてしまうからです。堤防・ダムを破壊して発生した「激流」は、人里を襲い甚大な被害をもたらします。「高堤防・ダム」方式は下流部の減災に繋がらず、逆に被害増大を招きました。
1896(明治29)年河川法制定で日本政府は、伝統的治水方式を近代土木技術に置き換え、「高堤防・ダム」方式へと突き進んでいきました。近年、地球温暖化を原因とする豪雨が頻発する中、「高堤防・ダム」方式に起因する災害と看做され始めています。
では伝統的治水方式とは何か。加藤清正の乗越堤、武田信玄の霞堤と呼ばれる、豪族・戦国武将の農業中心の国富・治水政策です。水流に逆らうのでなく水勢を弱め、一極集中でなく広く拡散、低湿地への導入(遊水池)と云う、水流の本性を利用した治水対策です。水が欠かせない農業では、水田での一時貯水、低湿地での蓮根栽培など、水と多様な付き合い方をしてきました。農業社会を工業・商業社会に変えるとき、水を排除する「高堤防・ダム」方式が採用されたのです。
2018年西日本豪雨で甚大な被害を被った倉敷市真備町は、元々広島県に跨る中国山地及び吉備高原を源流とする高梁川、小田川の合流点になっており、ハザードマップで、県南岡山・倉敷・浅口平野全体の中で、浸水深5m超えと最大の浸水地帯です。この最大の浸水地帯をどう改善するのか。合流点付替え工事が国土交通省によって実施されていますが、ハザードマップは改善されるか、疑問です。
高梁川、旭川、吉井川と云う岡山県3大河川の水量が大部分児島湾に集中し排水不良海域となっています。特に高梁川が、総社湛井堰で足守川・笹ヶ瀬川に用水分流し、また、倉敷市酒津で用水分流し六間川・倉敷川となって児島淡水湖に注いでいます。淡水湖の水質悪化、排水不良による上流の倉敷平野等浸水被害常態化は大問題です。
以上、真備町水害は、激甚災害地としての問題解決でなく、岡山県南部の3大河川下流部の排水不良問題として、大きな構想で解決しなければならない問題と考えます。EU欧州連合が、オーストラリアに造った、「ドナウ氾濫原公園」のような「水に空間を与える」取組が求められているのではないでしょうか。
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