「前衛」7月号二宮厚美論文『大連立ジレンマのなかの菅政権の迷走』は面白く読みました。菅首相を「伴食宰相」(その地位にしかるべき能力を伴わない大臣。他の引き立て役の力を借りて権力の馳走に伴食できる機会を待つ)と呼んでいます。
「引き立て役」は小沢元民主党代表。1回目は10年6月鳩山政権からバトンを受け「小沢なき菅政権」誕生の時、2回目は同年9月民主党代表選勝利で「小沢切り改造政権」スタートの時。今では2割を切った菅内閣支持率が、これらの時だけ4割を超え、まさに「小沢切り効果」で「権力の馳走に伴食」しました。
しかしその「効果」が薄れ、菅首相自らの外国人献金問題で国会審議の場に立たされ、TVはその姿を風前の灯火と言うべき様相で映し出していた、3月11日2時46分に大震災が起こった。国民にとって悲運の到来が、菅政権にとって「神風」となる強運を得、菅政権延命策として、「救国・復興の挙国一致体制」が唱えられた。
一方、自民党としては、民主党に選挙で勝てるにもかかわらず、支持率20%を切る「危険水域」に入った菅政権との大連立は「道行き心中」の懸念があり、踏み切れないというジレンマを抱えている、と指摘しています。
この論文の後、自民・公明等の菅内閣不信任案提出、与党内で小沢派が同調すると言った動きがありました。結果は、菅首相の退陣約束で不信任案を否決しましたが、新たな大連立構想が動き出しています。
マスコミ・財界は、日米同盟強化、消費税増税、TPP参加などで、民主党と自民党の大連立を声高に唱えてきました。しかし、この政策こそが、菅内閣不支持の理由ではないでしょうか。大連立で、自民、民主2大政党制そのものが「道行き心中」へと向かうのは必然です。かつて侵略戦争推進で、弾圧下の日本共産党以外、政党を解散した「大政翼賛会」と似ています。
こうしたジレンマを抱えながら、大震災を口実にした「大連立構想」に対決し、大震災・原発災害からの真の救援・復興、そのための全国民的協力を実現する政治的結集(政党だけでなく、無党派の人々も!)こそ、いま求められています。
9日記者会見で、日本共産党志位和夫委員長は「目的も進め方も被災者不在の『復興基本法』に反対する」と表明し、自民・民主大連立策動については「大きな危険性があると同時に、二大政党支配が行き詰まりをきたしている面がある」と2つの面を指摘しました。
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