生活保護受給者への締め付けが強められています。『週間ポスト』6月1日号は「生活保護その『矛盾』と『不公平』を考える」と題して、お笑い芸人(実名報道)の母親が生活保護を受給していたことをとり上げ、その芸人の「年収は一説には数千万円と言われるだけに、納得の行かない納税者も多いだろう」と厚労省OB(実名報道無し)に語らせています。
「グレーな支給が横行」「労働するより『贅沢』が可能?」の見出しが躍り、関西国際大学・社会福祉学教授の道中隆氏を登場させ「『生活保護は恥』だった時代」を良しとし「何のための生活保護制度か、社会全体で考えるべき時だ」と語らせています。
生活保護問題は、自民党片山さつき参院議員などが、ブログで芸人の実名入りでとり上げたり、国会で在日朝鮮人への生活保護を問題視する質問をしたりする中、メディアで大きな話題となりました。この中で、税金のムダ遣いであるかのような捉え方が生まれ、支給締め付けの議論が活発化していることは、貧困者パッシングの様相をもち、憂うべき問題です。
生活保護制度は憲法25条に基づいています。それは「①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と、国民は生存権をもち、それを保障する国の社会的使命を明記しています。
資本主義の貧困化作用、格差拡大に対して、国民生活を守ることが政治の大きなテーマになってきています。そのとき、生存権保障への国の責任を追及するのでなく、逆に国民の生存権要求を抑えるのが、今回の「生活保護問題」キャンペーンになっている、と思います。
「生活保護」と言うよりも「国民生活保障」と言うのが相応しい、国民一人ひとりの生存権を保障する国の制度が生活保護制度です。その内容を、人間らしい生活保障に高めたのが、国立早島療養所で肺結核の闘病生活を送っていた故朝日茂氏の「人間裁判」です。
生活保護受給者も「ワーキングプア」該当者も、ともに闘いに起ち上がりましょう。「生活保護への締め付け反対!国は、国民の生活を保障せよ!」「最低賃金を引き上げよ」と。日本共産党は、資本主義の害悪から人間を守るために力を尽くします。
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