流水に土砂等固形物が混じることで、洪水の運動エネルギーが増大します。高い堤防内に閉じ込められた水が増水し、越流・破堤を引き起こし、堤防が高い程、濁流(土石流)の破壊力は大きくなります。2018年真備町等水害では、こうした災害箇所は意外に少なく、水が静かに水位を上げ水没する被害が多く見られました。水位4mもの浸水で避難が出来ず、逃げ遅れが多数発生し、垂直避難が出来ず死亡に至った人が続出しました。真備町等では湛水防除ポンプが水没・機能せず、浸水2日後に、応援のポンプ車を何台も集めて排水作業が行われました。排水対策に欠陥があった、と言わざるを得ません。
ポンプ場は真備町、矢掛町、笠岡市、井原市に設置されていましたが、稼働し有効に排水できた所は何箇所あったのでしょう。堤防外に設置された水溜りから堤防内の河川水下部に向け高圧で水を押し出す「横軸斜流ポンプ」では、堤防内の水位上昇による電力消費増大でモーターストップが起き、電源水没でなくても排水不能に陥りました。そもそも水溜りが小さいため、ポンプがストップし、排水しない時間が長い、と云う例は随所に見られます。
2018年水害時、小田川水系の支川流出口は、本川逆流口となり、支川の虚弱堤防を越流・破壊し、浸水域を拡げました。ポンプ排水は、堤防外の浸水区域から河川水底部に向け圧力をかけて排水するものですが、支川逆流水があれば、それをまず止めなければ排水ポンプの意味はありません。真備町等水害の教訓は、ポンプ排水は本川・支川の堤防と水門との連携・調整無しには機能発揮は出来ない、と云うことではないでしょうか。
倉敷平野でも、浸水問題で、排水ポンプがあちこち設置されています。吉岡が浸水対策で排水ポンプ設置を提案したら、堀南から反対の声が上がりました。吉岡も堀南も吉岡川の逆流・排水不良に悩まされています。その根本は、児島湾締切堤防で満潮時閉門し排水ストップで、上流への逆圧がかかり、逆流が起きることにあります。これには、水系を児島湾以外に導くことしか解決策はありません。
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